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森に続く小径を今日も往く。その森の奥深く、生命の泉があふれるところ。思い出すように、懐かしむように、足裏をしっかりと地につけて、歩む。
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真っ白な肌の 赤ん坊が 生まれた

あまりの肌の白さに 父親は うろたえた



赤ん坊は 金髪の巻き毛に 金色の眉、睫毛までが金色で

色白を 通り越した その肌の白さに

父親は 即座に アルビノを 疑った



そんな父の 動揺は

母親の目には また違ったふうに 映ったのだ

「オレのコドモでは ナイかもしれない」

と、いうふうに




母親には わかっている

その子の父親が 他にいるはずもないことは



しかし、まだ聞かれてもいないことを 弁明するのは

かえって 疑いの種を作ることに なりかねないと 母親は思う

そうして ひたすら 

「この子は あなたに 似ている」と

繰り返し 言うのだった

それが 呪文になってしまうとは 思いもかけず




周囲もまた 暗黙の内に 母親の気持ちを受け止めてか

知ってか知らずか 

「なんと お父さんに 似ていることよ」

と、誰もかれもが 口を揃えて 言うものだから

父親も、その気になって 白い肌のことを 気にしなくなっていった



父親の 疑いや 落胆 

母親の 遠まわしの気遣いの 結果

その赤ん坊は 徐々に徐々に 肌色が濃くなって

髪も 黒くなり

ごく一般的な 日本人の子どもに 変化した

呪が 完成したのだ




父親も 母親も 気づかない

自分の本当の 気持ちに



小さく まあるい 真っ白な 赤ん坊を どんなふうに 感じて 抱いたのか

その気持ちは 埋もれてしまった



ずっと ずっと 

赤ん坊自身が、自分に かけられた 呪を 解き放つ その時まで

忘れずに いられるだろうか



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