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森に続く小径を今日も往く。その森の奥深く、生命の泉があふれるところ。思い出すように、懐かしむように、足裏をしっかりと地につけて、歩む。
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卓上で

携帯電話が 震えて

   四月には ここまで 来てもらいたい・・・

と、見知らぬ 女の声。

   そこは どこ?

   それは、貴女が 探すのよ

わけのわからない 電話に 付き合っていられるものか

そう 思ったのも 束の間

長年 使っている お気に入りの 白い洋皿を 見た途端

私は 思い出した。

この皿は、たしか あの頃 親しくしていた 女友達から いただいたものだ。

あの頃、通っていた あの場所のことか?

峠を二つ越え、谷から平地に うねって流れる 川沿いを 

小一時間 走ると 小さく 町が 見えてくる。

四つある橋 のうち、三番目の橋を 渡り

桜の木の ある 寺を 横目に 通りすぎれば

不動明王を祀る あばら家に 突き当たる。

あの頃というのは、たしか 1989年から 1990年にかけての 2年間

妙に、不動明王が つきまとう 2年間だった。

あっちでも こっちでも お不動さんが 顔を出す。

真言を唱える 声明が 私を迎えるように 響いていた

あの時代に

明日から 向かう ということなのだな。

地の底の ずっとずっと 奥底の 体の芯から 揺すぶられた

あの時代を 見るところまで

ようやく 戻ってきた ということなのだな。



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一昨日、「忘れ物」の夢を 見た。

「忘れ物」の夢は 私の 定番の夢の一つで

いつも 何故か 「体操服」を忘れて 焦る、慌てる・・・という内容だ。

場所や状況が 変わっても、常に 忘れ物は「体操服」だった。

ところが、一昨日は 違った。

私は 体操服を 忘れたことに さほど関心を 持たなかった。

「そんなこと、私は 恐れてなどいない!」・・・と、夢の中で 宣言した。



少し説明すると

現実で、学生時代 私は あまり 忘れ物を しない方だった。

(今は 物忘れは しょっちゅうだけど)

幼稚園のとき、一度 お弁当を 忘れて

家まで 一人で 取りに 帰ったことがある。

それ以来、私は 忘れ物に関して すごく 敏感になり

夜 寝る前に 翌日の準備を 必ずするようになった という経緯がある。

そんなこともあって、過去に(小学校、中学校、高校、大学で)

少なくとも「体操服」を 忘れたことは 一度も ないはずだ。


「体操服」というのは、なにかの 比喩なのだと 思う。

何の比喩かは、今のところ わからないが

ひとまず、心が少し 軽くなった。



その翌日(昨日)は 夢を 見なかった(覚えていない)

そして、今朝がた 見た夢では

ある男に 「もう二度と ここに来ないでくれ」と 言い放ち

男を 部屋から 追い出した。

次にやってきた ある女にも、「勝手にここに 入らないでくれ」と

はっきりと 言うことができた。

これまでの夢では、どうしても 断れなかったことだ。

よく言った!・・・と、自分でも 思った。









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朝霧の なか

一台の 白い車が、一軒の 建物の前に 停まった

それは まるで

霧の一部が とつぜん 車に変身したかのように 見えたものだ

白い服の 若者が、車から降りて

白い門の前に 立つ



建物の中では

ガラスの窓を 通して、娘が それを見ている

若者からは 娘の姿が 見えないらしく

自分を 見つけてもらいたい とでもいうように

しばらく その場で 立ち尽くし

窓を 見上げていたが

やがて、あきらめたのか

若者は ふたたび 車に 乗り、白いもやのなかに 消えていった



声の出ない 娘と

建物の中が 見えない 若者は

そうやって、たった一つの 出会いを 喪ってしまった



「酷い話だと 思わないかね」

耳元で そんな声がして

誰が 私に そう問いかけたのか


わからないままに

私は、黙って うなずいた




 

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津波がくる という夢を 見た

私は 海辺から 山に向かって 

一人の少女を 連れて 逃げた

少女は 中学生くらいで

もう 幼くはなかったが

安全な場所まで 送り届けるのが 大人としての 責任だと 思い

私は 彼女に ついてくるように 言った

彼女は くったくなく 笑ったあと

真剣な表情で 私といっしょに 山に登った

何度も 危ない目に 合いながら

やっと 大丈夫そうな ところまで 辿りつき

民家に 入れてもらい 休んだ



そんな夢を 見たあとに

その少女が 紫色の 振袖を着て 再び 私の夢に 現れた



どうして 彼女が 二度も 続けて 出てきたのだろう?

と、考えても 理由が 思いつかなかったのだが

さきほど、振袖の夢の記事を 書いてから

ふっと、思い出したのは

彼女の名前が 私の名前と 同じだったということだ

夢では、名前が 鍵になることは 珍しくない



少しずつ、とけていく 自分の中の 見えない世界









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教え子が 紫色の 振袖を着て

夢に 現れた

「あの子、もう 二十歳なのか・・・」



私は 自分が 振袖を 着た日のことを 思い出した

大学の 卒業式の ことだ

 

明るく かわいい オレンジ色で

大きな 鼓(つづみ)の柄が 刺繍されていて

華やかだけど 落ち着いた 色合いの 着物だった



さて、その振袖は 元は 姉が 成人式に 着たもので

要は 姉の お下がりだった




私の 記憶の中では、その振袖は 明るく軽い 緑色で

図柄は 全く正確に 覚えていたのに

色だけが 違っていた



どうして 記憶違いしたのか 自分でも わからない

どうしても 私の中の その振袖は 緑色なのだ

姉の 成人式以来 その着物を 目にしていなかったから

ずっと 緑色だと 思いこんでいた

卒業式に 着ようと 包みを 開き

オレンジ色の 現物を 前にして

大きなショックを 受けたことを 思い出す




「振袖」は 「袖を振る」

「袖を振る」とは、魂を呼び寄せるという 呪術的な 意味があると いう



 








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