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森に続く小径を今日も往く。その森の奥深く、生命の泉があふれるところ。思い出すように、懐かしむように、足裏をしっかりと地につけて、歩む。
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肥沃な 平原に住む、「ひとつ」という 存在が

ある時 旅に出ようと 思い立った。

海に 向かうか それとも 森へと 入ってゆくか

それは 大きな問題として 「ひとつ」の前に 立ちふさがった。

「ひとつ」は 苦渋の選択を 迫られ

自分自身を ふたつに 割ることを  ついに決意した。

分割された片方は 海を渡り 新天地へ

もう片方は 森の奥深くへと 進むことにした。

いつか また 出会うときが来たなら

互いの 体験を 語り合い、重ねあい

再び 「ひとつ」になることを 約束して。



どちらの旅も、月の指し示しを 導きとした。

海に浮かぶ 月のしるしは 

森にかかる 月のしずくとなって 

遠く離れた 場所に、一つの 結合の萌しを 示し続けたのだ。



その点、太陽は 役に立たなかったばかりでなく

大きさも また 当時は 月の比ではなかった。

信じられないのも 無理はないが

今ある 太陽は

海を渡ったものと 森の奥深くに突き進んだものが 

遠い遠い 旅路の果て

やがて 再び 出会った 後に 

こんなにも 大きくなったのだから。



海を渡った方が ミナ と呼ばれ

森に入った方を ノコと 呼ぶ ならわしができたのは

分割の事実が 忘れ去られ、神話になってからのことで

その古い神話も、太陽が 巨大になるにつれ

月は その反射でしかないと 捉えられるようになってしまい

ついに、新しい太陽神話に 取って代わられた。



もう 誰も 古い神話を 知らない時代と なったのだ。



いつの時か、どこの場所かも定かでないが

海の民と 森の民は 再び 出会ったはず なのだが

そのときの記憶は 風が 持ち去ったまま

行方知らずと なっている。



別れた 時の 記憶なら、かすかに ある。

なのに・・・

約束が 果たされたはずの、その瞬間が 思い出せなくて

だから・・・ 

こうして 誰もが、月夜の 風に吹かれると

言い得ぬ 恋しさを 覚えるのだ。

傍に 何人 人がいようと おかまいなく

淋しさは 一人ひとりの鼓膜に 個別に 訪れる。



いつか、どこかで 出会ったはずの 記憶を求めて

あの 別れの かすかな記憶を 頼りに

彷徨う、完璧を潜在的にもった 断片たち。










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